東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 量子イノベーション協創センター

2018年10月号 No.133

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1【機構活動】●10月24日に京都大で第13回PIセミナーを開催しました
2【Web情報】●機構および協創センターのHPをリニューアルしました
3【受賞情報】●山口君(岩本研)がMOC2018で優秀論文賞を受賞
4【論文関連】●機構関係者の研究紹介論文3件が応物誌10月号に
5【周辺情報】●“AIの社会実装に向けて”テーマにパネル討論―CEATECで
6【メディア情報】●機構関係者に関する掲載記事を紹介します
7【会議紹介】●関連会議・行事を紹介します
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☆★☆記事内容★☆★
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1 【機構活動】●10月24日に京都大で第13回PIセミナーを開催しました
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★機構主催による「第13回フォトニクス・イノベーション(PI)セミナー」が京都大
学桂キャンパス3階桂ラウンジで盛況に開催されました。当日は晴天に加え、秋色に
染まり始めた京都・桂の山並みを横目に、美濃島薫電気通信大学教授、中村隆宏技術
研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)研究統括部長をお迎えし、京阪神地区
を中心とした参加者約80名が、熱心に「光コム基礎から応用、シリコンフォトニクス
最新動向」をテーマにしたセミナー講演に聞き入りました。

 このセミナーは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)プロ
ジェクト「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術」(プロジェクト
リーダー=荒川泰彦東京大学特任教授)に関わる成果普及と人材育成を目的とした
フォトニクス・イノベーション共創プログラムの一環として、学生(学部生・院
生)・社会人向けに光分野の人材育成を目的に実施しています。同セミナーはこれま
で東京地区主体に開催してきましたが、人材育成のすそ野を広げる観点から、京都大
学工学研究科附属光・電子理工学教育研究センターの共催も得て、初めて京都開催に
こぎつけました。もちろん、これまで同様、NEDO、PETRA共催、一般社団法人光産業
技術振興協会(OITDA)が協賛に名を連ねました。

 当日は、司会を東京大学工学系研究科の竹中充准教授が務め、最初に荒川泰彦特任
教授から、京都地区で開催する意義と講師紹介を含めて開会の挨拶がありました。講
演では、“光コムによる光波の自在操作と周波数物差しを超えた応用展開”をテーマ
に美濃島先生より、光コムの歴史とその基礎について、音声による周波数操作を交え
ながら解説がありました。また、現在、研究総括として進めている科学技術振興機構
(JST)戦略的創造研究推進事業(ERATO)「美濃島知的光シンセサイザ(IOS)」プ
ロジェクトの成果を交え、ガス吸収分光の実時間計測をはじめ、超高速変更スイッチ
ング、デュアル光渦コム、超長距離の高精度絶対計測など、周波数ものさしを超え
て、光コムによる“光を使い尽くす”様々な応用技術の紹介がありました。

 次いで中村PETRA研究統括部長より“シリコンフォトニクス集積回路トランシーバ
と今後の動向”と題して、データセンタのトラフィック混雑を例に、シリコンフォト
ニクスが必要とされる現状や世界のシリコンフォトニクスICトランシーバの各社製品
比較などの解説がありました。また、LSIとのコパッケージ化やインターポーザに向
けた小型・高速化の技術課題や、主に大学が担っている革新技術の必要性などについ
ても具体的な言及があり、今後の新技術動向も含め、詳細な講演がありました。現状
から将来に向けた先端技術トレンドに接し、学生を含め、大学側からみて緊張感を感
じさせる講演でした。

 最後にこのセミナー準備に奔走頂いた京都大学の浅野卓准教授から「今日は勉強に
なり、大変有意義でした。また京都で開催してほしい」と閉会の挨拶があり、両講演
とも質疑も活発に行われ、予定時間を大幅に超えるほどの活況あるセミナーでした。

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2【Web情報】●機構および協創センターのHPをリニューアルしました
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★機構および機構の量子イノベーション協創センターの各ホームページをこのほど、
リニューアルしました。ご覧ください。
 ◎ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構HP
  http://www.nanoquine.iis.u-tokyo.ac.jp/
 ◎機構・量子イノベーション協創センターHP
  http://qdot.iis.u-tokyo.ac.jp/

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3【受賞情報】●山口君(岩本研)がMOC2018で優秀論文賞を受賞しました
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★岩本研究室(生産技術研究所)の山口拓人君(M2)が台湾で開催された「23rd
MICROOPTICS CONFERENCE (MOC2018)」で、最終日の10月18日(木)にBest Paper
Awardを受賞しました。受賞した発表タイトルと著者は下記の通りです。
 ◎[C-2] Observation of topologically protected light propagation in a
slab-type valley photonic crystal waveguide
  Takuto Yamaguchi, R. Katsumi, A. Osada, Y. Ohta, S. Ishida, S. Iwamoto
and Y. Arakawa(Univ. Tokyo)

 ↓↓↓詳しくは(MOC2018プログラム)↓↓↓
 http://moc2018.ntust.edu.tw/program.php

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4【論文関連】●機構関係者の研究紹介論文3件が応物誌10月号に
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★応用物理学会誌Vol.83 No.10に機構関係者の研究紹介論文として下記3件が掲載さ
れていますので、紹介します。
 ◎フォノニックナノ構造を用いた集熱の実現
  野村政宏、アヌフリエフ ロマン pp745-748
 ◎超高Q値シリコンフォトニック結晶光ナノ共振器の進展
  高橋和、岡野誠、浅野卓、野田進 pp749-753
 ◎鉄系強磁性半導体の創製とデバイス応用
  ファム ナム ハイ、レ デゥック アイン、グエン タン トゥ、田中雅明 
pp754-758

 野村政宏准教授(生産技術研究所)らの「フォノニックナノ構造を用いた集熱の実
現」は、フォノン輸送物理に基づいて、ナノ構造を利用したフォノン輸送および熱伝
導制御を可能にするもので、著者らが進めてきたフォノンエンジニアリングの成果と
展望について述べています。著者グループのシリコン薄膜における集熱を実現した構
造の電子顕微鏡写真などが応物誌同号の表紙を飾っています。

 野田進教授(京都大学)らの「超高Q値シリコンフォトニック結晶光ナノ共振器の
進展」は、EB露光に限らず、CMOS互換プロセスを適用し、量産対応が可能なフォトリ
ソグラフィでもQ値250万まで達成し、Q値500万台への見通しも得られるなど、フォト
ニック結晶技術が実用レベルを迎えていることについて述べています。今後は具体的
実用素子の開拓が課題としています。

 田中雅明教授(工学系研究科)らの「鉄系強磁性半導体の創製とデバイス応用」
は、従来の強磁性半導体が抱えていた3つのネックを解決する可能性を持つ鉄系Ⅲ‐
Ⅴ族強磁性半導体について、結晶成長から磁気特性などの基本物性や、この新しい鉄
系強磁性半導体の半導体スピンデバイスとしての応用可能性について述べています。

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5【周辺情報】●“AIの社会実装に向けて”テーマにパネル討論―CEATECで
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★一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の技術戦略部会による提言に沿って
「AIが人々の豊かな生活を実現~SDGs・Society 5.0実現のためのAIの社会実装に向
けて~」をテーマに、「CEATEC JAPN 2018」会期中の10月17日(水)に同メッセ国際
会議場でパネルディスカッション(TR2-3)が約200名の出席を得て行われました。
JEITA技術政策委員会委員長の荒川泰彦特任教授がモデレータに、機構の客員教授で
もある鈴木教洋日立製作所執行役常務CTO兼研究開発グループ長ら産業界、法曹界か
らパネラが参加し、JEITA提言による“何のためのAIなのか”、“AIは新しい道
具”、“社会実装に向けた課題”など5つのキーワードを中心にAIの社会実装に向け
た諸問題について討論を深めることができました。

https://regist.ceatec.com/?act=Conferences&func=Detailed&event_id=7&conference_id=413&mode=iframe

 ↓↓↓(詳しくは)↓↓↓
 https://www.ceatec.com/news/ja-webmagazine/ja-010

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6【メディア情報】●機構関係者に関する掲載記事を紹介します
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★日経産業新聞の新進若手研究者を紹介する「次世代の先導者」欄に理化学研究所染
谷薄膜素子研究室の福田憲二郎専任研究員が紹介されました。染谷隆夫教授(工学系
研究科)の研究室で博士課程を修了し、山形大学での研究活動を経て、2015年に理研
の染谷プロジェクトに加わっています。前号でもお伝えしましたが、Nature誌9月27
日付電子版に公開された論文(
http://www.nature.com/articles/s41586-018-0536-x )の薄くて柔らかい太陽電池
で最高変換効率10.5%を達成した成果やこれまでの足跡について紹介されています。
 

 ◎日経産業新聞 10月25日付5面 次世代の先導者
                 理化学研究所専任研究員 福田憲二郎氏(35)
                 薄く柔らかい太陽電池開発
                 身に着けるセンサー電源に

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7【会議紹介】●関連会議・行事を紹介します
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★2019年2月2日(土)-7日(木)「SPIE Photonics West 2019」(@The Moscone
Center, San Francisco, California, United States)
 http://www.spie.org/conferences-and-exhibitions/photonics-west?SSO=1

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★2月17日(日)-21日(木)「2019 International Solid-State Circuit
Conference(ISSCC 2019)」(@San Francisco Marriott Marquis, 780 Mission
Street, San Francisco)
 http://isscc.org/

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★2月25日(月)-27日(水)「7th International Conference on Photonics,
Optics and Laser Technology(PHOTOPTICS 2019)」(@Vienna House Diplomat
Prague, Prague, Czech Republic)
 http://www.photoptics.org/Home.aspx

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■【編集後記】時折、寒さも感じる秋深いこの頃です。そんな中、10月15日から開催
されたCEATEC2018の見学に行ってきました。かつての“家電ショー”とは様変わり、
コンビニや金融などのサービス産業までが出展するなど、すそ野の広がりを感じさせ
る展示会でした。これもI o Tなどを旗印に掲げているように、新技術による社会の
変貌が予見されているからでしょうか。しかもそういうブースほど、説明員に女性研
究者が目立って多いと感じられました。これも時代の変化の一つでしょうか。金融を
はじめ、こうしたサービス産業には、近年、とくに理系学生の就職も活発と聞きま
す。かつては博士課程の民間企業への就職は狭き門といわれましたが、最近、少し変
化があるのでしょうか。大学の若手教員が民間に転職した話もちらほら聞きます。背
景にAIや自動運転など、新分野対応にアカデミア人材の渇望が企業側にあるとも聞き
ます。変化の芽が確実に育つことを期待したいものです(O)
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■発行:東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構
├ http://www.nanoquine.iis.u-tokyo.ac.jp/
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