┌───\Headline/──────────────────────────
1【機構活動】●ISPEC2017が盛況に開催されました
2【特論情報】●12月14日に日立中研で企業集中講義が行われました
3【受賞情報】●荒川機構長のNAE外国人会員就任式の様子が生研HPに
4【メディア情報】●機構関係者に関する掲載記事を紹介します
5【会議紹介】●関連会議・行事を紹介します
└───────────────────────────────────

☆★☆記事内容★☆★
┌───────────────────────────────────
1【機構活動】●ISPEC2017が盛況に開催されました
└───────────────────────────────────
★12月11、12の両日、東京大学駒場リサーチキャンパスで「The 7th International
Symposium on Photonics and Electronics Convergence -Advanced Nanophotonics
and Silicon Device Systems-(ISPEC 2017)」が機構および光電子融合基盤技術研
究所(PETRA)主催、産業技術総合研究所(AIST)共催、新エネルギー・産業技術総
合開発機構.(NEDO)後援により、盛況に開催されました。

 7回目となるISPEC2017は、シリコンフォトニクスのパイオニアでもあるMITのL. C.
Kimerling教授をはじめ、UCSB、北京大学、Luxtera、Aya Labsなど、海外の第1線研
究者、国内からは荒井滋久東工大教授らの招待講演に加え、PETRAや大学からシリコ
ンフォトニクスの最先端研究成果と今後の課題について報告し、熱心に討論しまし
た。

 初日の12月11日(月)は、田原修一PETRA専務理事が「昨今のデータセンターの処
理性能のボトルネック解決にはシリコンフォトニクスが欠かせず、その事業化に向
け、PETRAはアイオーコアを設立した」と開会挨拶で決意を述べました。続いてNEDO
「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」プロジェクトリーダー
でもある荒川泰彦当機構長がKeynote Speechとして、同プロジェクトの概要と最近の
成果などについて講演しました。クラウド/エッジ・コンピューティング分野でAIが
浸透し、ますます光配線技術がキー技術になってくるとした背景説明に加え、日米欧
のシリコンフォトニクス研究開発状況を踏まえ、NEDOプロジェクトによる最新の成果
と事業会社のアイオーコア(AIO Core)設立の意義についても触れました。

 続いてMITのKimerling教授、UCSBのJ. Bowers教授による2つのPlenary 講演を、第
11回フォトニクス・イノベーション(PI)セミナーと位置づけ、光技術分野の社会人
および学生向けに広範に開放する形で、「シリコンフォトニクスの展望」と「シリコ
ンフォトニクスにおける量子ドットレーザーの可能性」について、それぞれ貴重な講
演を行いました。

 2日目の12日(火)昼にはポスターセッションを同ホール・ホワイエで行いまし
た。内外から学生・若手研究者による43のポスター発表があり、会議出席者が熱心に
議論を交わしました。また、米LuxteraのP. De Dobbelaere氏および日本のAIO Core
の蔵田和彦氏からそれぞれシリコンフォトニクスに関する最新成果の講演があり、産
業的出口の先端を垣間見ることができました。最後に産業技術総合研究所の森雅彦氏
が閉会の挨拶を行い、「延べ250名を超える参加があり、盛会であった。また来年の
ISCPE2018で会いましょう」と締めくくりました。

┌──────────────────────────────────
2【特論情報】●12月14日に日立中研で企業集中講義が行われました
└──────────────────────────────────
★機構が主宰する大学院共通科目「ナノ量子情報エレクトロニクス特論」の今年度最
後の企業集中講義が12月14日(木)に国分寺市の日立製作所・中央研究所で行われ、
30名近くの院生が参加しました。

 最初に同社チーフサイエンティストの松岡秀行氏(代理)から同社の研究開発概要
について説明がありました。I o T時代のイノベーションパートナーとしての位置づ
けで研究開発を広範に行っているほか、世界展開している研究開発組織の紹介などが
ありました。

 講義では、I o Tを活用したデジタルソリューションとして、映像解析技術と連動
させた駅混雑緩和などの各種ソリューションやウォークスルーで認識可能になってい
る指静脈認証技術、ポータブル呼気アルコール検出システム、ディベートAI、多目的
AIなど、多岐にわたるソリューション技術の紹介がありました。

 同様に量子情報関連では、量子情報への期待が大きいとして、様々な取り組みを
行っていると紹介がありました。昨今、巷間では、混乱気味とされる“量子コン
ピューター”の定義について、最初にわかりやすく整理した説明と困難な計算への
ニーズなども含め、現状動向も踏まえながら、同社の研究開発の取り組みについて説
明がありました。CMOSアニーリングマシン、ゲート型のシリコン量子ビット、量子暗
号のプロトコルをそのまま利用しながら、ノイズが大きな信号を使って、現状の伝送
路を利用しながら、安全性を最大化するセキュア通信などの取り組みについて講義が
ありました。

 続いて、超音波診断装置の講義では、がん診断を対象にし、様々な探触子の開発か
ら、部位を360度照射して高精度画像化する技術、超音波治療用増感剤の開発な
ど、診断から治療までのシームレスな技術開発に取り組んでいる様子が紹介された。

 ラボツアーでは、同社中研から生まれた国産初のコンピューターや電子顕微鏡など
から生体認証、画像処理による不審者認識など、I o T技術と連動させた最新技術の
デモ紹介、また、ディベート型AI、超音波診断装置などの実際について、説明を受
け、認識を深めることができました。

 最後に全体質問で社会人博士などの支援体制や同社の処遇などについて質問が出さ
れ、関心の高さを見せました。

┌──────────────────────────────────
3【受賞情報】●荒川機構長のNAE外国人会員就任式の様子が生研HPに
└──────────────────────────────────
★10月8日(日)に米国で開かれた米国工学アカデミー(National Academy of
Engineering, NAE)年次総会で、荒川泰彦機構長がNAEの外国人会員として任命を受
けました。このほど、その就任式の様子が生産技術研究所ウェブに掲載されましたの
で、そのページを紹介します。

↓↓↓(生研ウェブ)↓↓↓
http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/news/2823/

┌──────────────────────────────────
4【メディア情報】●機構関係者に関する掲載記事を紹介します
└──────────────────────────────────
★樽茶清悟教授(工学系研究科)、山本倫久特任准教授らによる電子波の位相変化が
人工原子の内部構造を反映することを初めて実証した成果が報道されました。独自に
開発し、改良した2経路干渉計を用いて精密に位相測定を行い、検証したものです。
新たな物理現象の解明や電子波の位相制御による量子ビットなどの量子情報デバイス
への応用が期待されます。この成果論文はNature Communications 11月22日付で公開
されました。

↓↓↓(プレスリリース)↓↓↓
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/press/setnws_201711241130474371680739.html
◎OPTRONICS 11月24日付 東大ら,電子波の位相変化は人工原子の内部構造を反映と確認
http://www.optronics-media.com/news/20171124/49200/
◎マイナビニュース 11月24日付 20年来の電子波の散乱位相問題に決着 – 産総研
https://news.mynavi.jp/article/20171124-a119/

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★山内薫教授(理学系研究科)らの成果である量子力学が予言した化学反応理論を実
験で初めて証明した研究が報道されました。確率論的に起こるフラーレン1つ1つの分
子の反応挙動を原子分解能顕微鏡で追跡し、分子1つ1つはランダムだが、総和をとる
と一次反応速度式に従うという量子力学理論の予測を実証したものです。これにより
化学、生物学、材料研究における超微量、超高分解能の革新的分析手法につながると
期待されます。この成果論文は米国化学会誌「Journal of the American Chemical
Society」ウェブ版に11月26日(日)に公開されました。

↓↓↓(プレスリリース)↓↓↓
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/5616/
◎OPTRONICS   11月27日付 東大,分子反応における量子力学理論の予測を実証
http://www.optronics-media.com/news/20171127/49232/
◎化学工業日報 12月 5日付 1面 東大、
量子力学予言の化学反応理論を実験で証明、分子の挙動追跡

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★日経ビジネス12月11日号に中村泰信教授(先端科学技術研究センター)の談話が紹
介されました。「時事深層」のページで、米IBMが11月に発表した量子コンピュー
ターの50量子ビット化のもたらす衝撃に関する記事の中で、50量子ビットの壁をクリ
アした意義について中村教授のコメントが述べられています。
◎日経ビジネス 12月11日号10~11pp 時事深層 INSIDE STORY
                  量子コンピューターの本命技術が実現
                  IBMが超越した「量子」の限界

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★樽茶清悟教授(工学系研究科)らが、もつれ光子対を用いて、相関を持つ光子と電
子の対を生成・検出することに初めて成功した成果が報道されました。もつれた光子
1対から電子と光子という種類の異なる基本粒子の量子もつれを生成させた初めての
実証です。この成果は光を用いた量子通信の通信距離制限を打破する量子中継への応
用が見込まれます。この成果論文はScientific Reports 12月5日(火)付に公開され
ました。

↓↓↓(プレスリリース)↓↓↓
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/press/setnws_201712061344229028752093.html
◎Laser Focus World Japan 12月8日付 
         もつれ光子対を用いて相関をもつ光子と電子対の生成、検出に成功
http://ex-press.jp/lfwj/lfwj-news/lfwj-science-research/21863/
◎日経産業新聞 12月26日付 4面 「もつれ状態」を生成
                東大、電子と光子の対で

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★樽茶清悟教授(工学系研究科、理化学研究所創発物性科学研究センター量子情報エ
レクトロニクス部門部門長)、伊藤公平教授(慶應義塾大学)、小寺哲夫准教授(東
京工業大学)らのシリコン量子ドット構造で超高精度電子スピン量子ビットを実現し
た成果が報道されました。同位体制御されたシリコン基板に、量子ドット素子を形成
し、特殊形状の磁石を組み合わせて、高速スピン操作を行い、従来の量子ビットに比
べ、約100倍の演算速度と約10倍の情報保持時間を同時達成したうえで、量子演算の
誤り率の従来トップデータに比べ、約1桁低減させることに成功しました。この成果
は、集積化に適したシリコン・ナノ構造における超高性能の電子スピン量子ビットの
実装方法を確立するもので、今後、これを用いたシリコン技術を用いた量子コン
ピューターの開発加速が期待されます。この成果論文はNature Nanotechnology 12月
18日(月)付電子版で公開されました。

↓↓↓(プレスリリース)↓↓↓
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/press/setnws_201712181115459982976828.html
◎日刊工業新聞 12月19日付28面 理研、精度99.93%達成
                量子ビット演算 シリコン利用で
◎マイナビニュース 12月19日付
          シリコン量子コンピュータ開発を加速する、高精度量子ビットを実現
https://news.mynavi.jp/article/20171219-559576/
◎OPTRONICS    12月20付
          東大ら,シリコン量子ドット構造で超高精度量子ビットを実現
http://www.optronics-media.com/news/20171220/49539/

┌──────────────────────────────────
5【会議紹介】●関連会議・行事を紹介します
└──────────────────────────────────
★2018年1月17日(水)「大学発ベンチャー創出シンポジウム 2018 〜ケースから学
ぶ〜」(@東京大学伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホール、東京大学本郷キャン
パス、東京)
http://www.libertas.co.jp/venture/venture2018.pdf

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★2月7日(水)「平成29年度 光産業技術シンポジウム 〜 AI・IoT時代を支えるフォ
トニクス技術 〜」(@リーガロイヤルホテル東京、新宿区戸塚町、東京)
http://www.oitda.or.jp/main/symp/symp17-j01.html

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★3月4日(日)−8日(木)「10th Anniversary International Symposium on
Advanced Plasma Science and its Applications for Nitrides and Nanomaterials
11th International Conference on Plasma-Nano Technology and Science
(ISPlasma 2018/IC-PLANTS 2018)」(@Meijo University, Nagoya, Japan)
http://www.isplasma.jp/

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★4月9日(月)−11日(水)「International Conference on challenges in
Quantum Information Science (CQIS2018)」(@Hitotsubashi Hall、千代田区一ツ
橋、東京)
https://qis1.ex.nii.ac.jp/workshop/CQIS2018/

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

★4月23日(月)−27日(金)「OPTICS & PHOTONICS International Congress
2018(OPIC)」(@パシフィコ横浜、みなとみらい、横浜市)
https://opicon.jp/ja/

*************************************
■【編集後記】今年はどんな年であったのか、振り返ってみると、AI、量子コン
ピューターに関する話題が多かったように思います。AIによって、逆にコンピュー
ター環境がどう変わるのか、AI-I o Tテーマにビジョンワークショップも開かれ、か
なりの盛況をみせました。また量子コンピューターの大規模化に向けた話題も多く、
質的変化を感じさせました。量子コンピューターに関する定義も話題になるほど、量
子コンピューターが世相に浸透した証左ともいえます。この定義を巡っては、この7
月にIEEEで定義検討の委員会を設けたようでもあり、それなりの議論が進むと期待さ
れます。ちなみに米国のScientific American誌がTop ten Emerging Technology of
2017を特集しており、量子コンピューターは10位とTop 10入りをしました。ちなみに
1位は太陽光エネルギーから水を生成する技術でした。量子コンピューターは新しい
アルゴリズムがイノベーションの扉を開くと期待されてのことでしたが、Top 10入り
というのはより実用に近ずいたということでしょうか。今年も残すところわずかとな
りました。皆様良いお年をお迎えください。(O)
┌──────────────────────────────────
■発行:東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構
├ http://www.nanoquine.iis.u-tokyo.ac.jp/
└──────────────────────────────────